平家物語の冒頭に「祇園精舎の鐘の声、所業『むじょう』の響きあり」の一文があります。このむじょうは「無常」「無情」どちらかわかりますか?今時はIME変換してくれるので間違えることは少ないですが、「無常」「無情」の違いを調べてみました。


「無常」とは
「無情」とは仏教の言葉の一つです。この世の中は変わらないものはない。常に生滅流転(しょうめつるてん)して永遠ではない。特に生命ははかなくいつかは死ぬということ。無情であるがゆえに、楽しいことはいつか苦しくなり、また逆もしかり。
冒頭の平家物語の一文はこちらの無常が当てられます。
「祇園精舎の鐘の声、所業無常の響きあり」
所業無常は、つまりこの世のすべては絶えず変化していくもので、源氏と倒し、繁栄を極めた平家の衰退と重ね合わせた意味合いとなっています。
無情とは
続いて「無情」です。こちらは「情」が無い。情とは「人情」とかの言葉に代表されるように、「気持ちや感情」を指します。それが無いということで「いつくしむ心がないこと」「思いやりのないこと」「また、その状態」だったりします。また仏教の言葉でもあり「精神や感情などの心の働きのないこと」という意味もあります。
「無常」「無常」意味は違えど、使う場面は似ている?
「無情」「無情」は雰囲気が似ていて、使うタイミングも似ていたりするので混乱しやすいです。
「人の死は『無常』であり『無情』であります。」
もう少し言葉を付け加えると「人が死ぬということは、まさに『無常』であり、とても残念で『無情』な出来事です」ですかね。人の死に対して「むじょう」という言葉は、どちらにも違和感なく使うことができます。


無常で無情とは…なかなか深いなぁ。